月見月理解の探偵殺人4
父親の死を通じて、妹と決別し、月見月理解や星霧交喙など「異能」の力を持った人々と関わることになった都築初。そんな初の妹・遥香が「探偵殺人ゲーム」を今更ながら調べているという情報を聞く。そして、そこからたどり着いた先には、勝つと願いが叶うといわれるゲーム内のコミュニティ・「黒の箱庭」があった。それは、参加者を集めて、探偵殺人ゲームを行うという一見普通のものにみえて、裏では参加者に行方不明者が出ているという噂が出ている危険なものだった。遥香を危ないところに関わらせたくなくて、奔走する初だったが……
面白かった! 真実を知りたいがゆえに危ないところに入り込もうとする遥香と、遥香を辛い真実から遠ざけたいと願う初。断絶していたように見えた仲の一端は実に苦しいもので、遥香と初の関係性は、一言では片付けられないものがあった。
前の巻が布石を揃えすぎていて批判したけれど、今回はそれを序盤から見事に使っていた。初に対するハーレム集団(多大なる誇張表現)のやり取りはそれぞれ個性が出ていて、そんな彼女達を使って遥香を助けようとするものの、彼女達を割り切ることもできはしない、お人よし属性の初は心地よいです。
その上、遥香を守るために、黒の箱庭のゲームに参加することになってしまい、親友の従妹をなのる「果無連理」の登場もあって、物語は混沌としてくるのですが、その捌き方が上手いんだよなあ。探偵殺人ゲームにはっきり焦点があてられたのもこの巻が初めてで、そこで渦巻く関係性というのがまた面白いんだ。他者を隠れ蓑にして嘘をつき続けることで生き残る、真実を追究することで勝ち残るという2つの選択肢ではなく、それが複雑に絡み合ったものを、1人1人が選択していくゲームだから、かなり難しい(ように私は思った)けれど、暴論のラインギリギリを振りかざす理解だったり、優しい嘘つきな初だったりと個々の性格がよくでている。個人的には、交喙のプレイも、もっと見てみたかった。
でも、何より良かったのが合間合間の兄妹会話。どうしようもないすれ違いがもどかしく、どちらも譲歩できないことがくやしくてたまらなかった。兄を憎む中で迷いが見える遥香も、自らが守りたいと思うものが偽善であることを自覚する初も、どちらが悪いなんてことはないのに、その主張は平行線のままで、そんな中での遥香の叫びは痛かった。
結論的には大きなものを取り返せるけれど、進めてしまったものも大きくて、初は本当に可哀想だと思います。いつか本当の意味で彼が救われる時が来るといいのに。
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月見月理解の探偵殺人 4 (GA文庫) 著者:明月 千里 |










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