双つ龍は艶華を抱く
兄が急死したため、実家の老舗旅館を引き継ぐことになった松波聖。だが、彼に示されたのは紅葉組というヤクザと兄が生前結んでいた土地の売買契約の書類だった。代々引き継がれてきた旅館をこんなところで止めるわけにはいかないと相手にすがりつく聖。そこで、相手が出した条件は一定期間だけ聖に紅葉組の若頭とその双子の弟のオンナになれというもので……
同じBL界で例えるなら、一穂ミチ先生は恋愛を日常のそのすぐ先にあるものとして書いていましたが、この藍生有先生は体の関係のその先にあるものとして書いているようです。それはそれでいいんだけど、どうもこの話は3人の間に愛情が感じられず、だからといって体の関係に割り切るわけでもないのが好きじゃありませんでした。
断れない条件を出されてしまった聖はなすすべもなく双子の手の中に落ちていきますが、アンアン喘いだ直後に毎度毎度「でも、これは一定期間なんだから」だの「従順にしてれば相手も飽きるんじゃないか」だのと決意が大層なものすぎる。お前、ちょっと前に思考が飛んでたし、前にも決意してただろうが!と突っ込んでしまった。流されやすい受けというのとはちょっと違って、どうも行動と言動が乖離しすぎている気がしました。まあ、無自覚淫乱受けというのかな?
攻めズの双子の方がよっぽど筋が通っていると思いました。初期でやってることは脅迫ですけれど、ヤクザだのなんだの言うわりには聖に対して鬼畜じゃなかったなあ。言うことを聞きさえすれば基本的に約束は守るし、体も労わるし、欲しいものも大抵あげるって結構至れり尽くせりじゃないですかね。羨ましいかといわれれば、全くそんなことはありませんが。
しかし、聖と紅葉組の契約で、土地の売買契約については一区切りついたものの、今度は旅館のガラスが何者かに割られるという器物破損事件が度々起こるのですが、正直、犯人が馬鹿すぎるだろうとしか思えなかった。もう少し、手の込んだ仕組みをつくれないのでしょうかね。
BLものでありがちなのが、初め無理やり→でも相手のよさを知る→違う奴に押し倒されて気持ち悪いと感じる→そうか、俺あいつのことが好きだったのか!というパターンですが、この話は最後の部分がそうか、俺あいつらとの体の関係が好きだったのか!みたいに収まるので、後味が悪い。3人は、体の関係というわりには結びつきすぎているけれど、永遠に恋愛感情を持たないんだろうなと思いました。
個人的には、お兄ちゃんの義臣の方が好きでした。情に厚い兄貴のような奴で、結構いい人です。弟はヤンデレ臭がすると期待していましたが、その辺は中途半端で終わってしまったので残念。でも、1番駄目だったのは、主人公の聖の一貫しない思考だと思う。
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双つ龍は艶華を抱く (白泉社花丸文庫BLACK) 著者:藍生 有 |











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