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2011年1月

2011年1月17日 (月)

シュガーアップル・フェアリーテイル 銀砂糖師と黒の妖精

人間が妖精を支配する世界、銀砂糖師の称号を持つ母を亡くした少女・アンは母のあとをつぐことを決意する。だが、銀砂糖師の称号は、王都でおこなわれる砂糖菓子品評会でたった1人勝ち残らなければもらえない。道中の危険を避けるために戦士妖精・シャルを買い、品評会での勝ちを目指して王都を目指すアンだったが……

これは何とも可愛らしい物語。妖精を使役する世界で、妖精と友達になりたいと願う少女の想いは甘い気もするけれど、最後まで読むと成長に乾杯したくなる。個人的には、シャルとアンのカップルだけでも、とっても美味しかったです。

愛玩妖精にもなれるくらい美しい顔をしながらも、その口の悪さから売れ残っていたシャルはキツイ言葉をアンに浴びせるのだけれど、彼が言う「持つものの傲慢」つまり、アンがシャルを買って、妖精にとって心臓ともいえる羽を所持しているからこそ、この関係は成り立っているのであり、その上で友達になりたいというのはただの傲慢でしかないというのは的を射ているものだと思う。そもそも、シャルの言葉1つ1つは本来当然の権利で、鋭く突き刺す見えない刃はきついけれど素敵だった。アンの方もその言葉を受け止め、それでも友達になりたいと願い、王都についたら解放を約束する。それは甘いのだけれど、その奥に潜む芯の強さがカッコいいですね。

道中に乱入してきたアンに恋するおぼっちゃま・ジョナスに、妖精達。ほのぼのもありながら、ジョナスに妖精は使役される存在だと暗に示され、アンは手ひどい傷も受けます。自分の目的を見失い、弱さを見せた彼女にシャルがそっと言葉をかけてくれたことが凄く嬉しかった。後、妖精のキャシーの不器用さも結構好き。素直になれない子って可愛い。

銀砂糖師になるにあたって必要なものとは何かを考える経緯なども含めて、この話は決して斬新な物語ではないけれど、最近の少女小説として見失われがちであった大切なものを散りばめてくれた良作であったと思います。

シュガーアップル・フェアリーテイル 銀砂糖師と黒の妖精 (角川ビーンズ文庫) Book シュガーアップル・フェアリーテイル 銀砂糖師と黒の妖精 (角川ビーンズ文庫)

著者:三川 みり
販売元:角川書店(角川グループパブリッシング)
Amazon.co.jpで詳細を確認する

2011年1月16日 (日)

シスター・ブラックシープ 悪魔とロザリオ

16歳の誕生日、悪魔に無理矢理指輪を嵌めさせられ「妻」になる契約をさせられた助祭・コンスタンティン。彼女は善行をすると石の色が薄れて壊れるという指輪を壊すことで契約を破棄しようと、正体を隠して伝説の聖女「黒い羊」として善行を重ねようとした。だが、そんな時に悪魔を追う司祭が彼女の前に現れ……

コンスタンティンという強気でカッコいい女性が周りをグイグイ引っ張っていくのが愉快で、でも少し見える彼女の弱さにも惹かれてしまう。周りの男性陣との関係も含めて、次が楽しみになる話でした。

悪魔の花嫁という運命から逃れようと男装して助祭にまでなったものの、運命からは逃れられなかったときにコンスタンティンが迷わず猫(となった悪魔)を聖水に漬け込んだのには笑った。そして聖職者でありながら、夜遊び大好き、というか善行なんて出来るか!と破天荒な性格が面白く、黒い羊となって合法的に悪い奴をやっつける時に伝わってくる爽快感がヒロインとしては斜め上な形で好きだった。

一方、彼女を花嫁にしよとする悪魔の方も、コンスタンティンに惹かれているのかと思いきや、それはあくまでも容姿などの表面的な部分でしかなく、本当の意味で人を愛する事を知らない、そしてそれを別になんとも思っていないので突拍子もないことを言ってくるので、コンスタンティンとの会話にはニヤニヤしてしまう。初めは魔力が戻ればどうにでもなると思いながらも、次第に自分につれない態度をとり、離婚離婚と騒ぐ彼女にイライラする。あー、なんて可愛いんだこの悪魔は。愛されることが当然で、それを疑問にも思っていなかったという傲慢さが簡単に覆される様子を見るのは愉快だった。

この2人だけでも面白いんだけれど、そこに悪魔を追ってきた司祭・ユリエルが現れ、そののんびりとした雰囲気にコンスタンティンも初めは悪魔の言うことを信じていなかったものの、黒い羊として彼と対立することになり別の一面を見てしまい、でも次の朝には「司祭と助祭」に戻らなければならない……彼女が人知れず抱えていくものの1つがほんのり示されるのが可哀想だった。そしてその他、彼女の周りの男性陣も彼女が女だと知ったときにどんな反応を見せてくれるのか期待。

そして最後にコンスタンティンがみせた大切な「想い」には胸がぐっとした。ある意味人一倍素直じゃない彼女が自分自身の道をこれから見つけていけますように! 

シスター・ブラックシープ 悪魔とロザリオ (角川ビーンズ文庫) Book シスター・ブラックシープ 悪魔とロザリオ (角川ビーンズ文庫)

著者:喜多 みどり
販売元:角川書店(角川グループパブリッシング)
発売日:2010/06/30
Amazon.co.jpで詳細を確認する

2011年1月 7日 (金)

花帰葬感想メモ

華やか哉我が一族の方は、ただいま博ルートで11月くらいまでいったのですが、正直、ずっと同じゲームばかりで飽きたので、花帰葬(psp版)を購入し、そっちの方を今メインでやっています。みたエンドは、「無為の咎人」、「羊水のひかり」、「白花埋葬」、「約束」、「てのひらの先に」、「遠く、不断に」、「約束Ⅱ」と、プレイした方はお分かりの通り、ベストエンドも見てないんですが、エンド数が多いので1つ1つのエンドに関する想いが途切れない内に中盤感想ということにさせていただきます。

※ここから先は、ネタバレを含みます。

ゲームは、主人公・玄冬が記憶を失い、旅の連れであると名乗る花白と一緒に旅をすることから始まります。記憶を失っていますから、当然花白のことも覚えていないのですが、それでも玄冬に絶対の信頼をよせる花白の想いもあり、この序盤は掛け合いが非常に楽しいです。このゲームはほぼ全部会話ですが、声優さんたちの演技もあり、実に自然体の会話を楽しむことができます。

しかし、物語が進むにつれて見えてくるのは、花白の暗い部分。誰かに追われる花白は、その理由をはっきりとは明かしません。次第に花白だけではなくて玄冬自身も追われていること、どうやら「玄冬」は忌むべき存在であるようだとわかるわけですが、花白はそのことを否定。花白は、玄冬が自分のことをマイナス方面に捉えることを過剰なまでに否定します。ですが、ついに2人は捕まり牢獄へ入ってしまう……ここらへんまでが、共通でしょうか。

牢獄で「諦める」を選ぶと「無為の咎人」エンド。実は、このエンドを好きだったりします。題名の通り、何もしないことが罪になるという玄冬と花白の秘密の一端がみえるエンドでもあり、個人的には、玄冬達を捕まえた銀朱と玄冬の会話がとても切なくなるものでもあります。抵抗を諦めた玄冬に戸惑い、静かに自分の本音を吐露する銀朱のその迷いが辛いのです。銀朱は、民のためと常に真っ直ぐな人ではあるのですが、別に他者を理解しないわけではない。他者のことを理解して、それでもその道を選んだ人ですから、その人が迷うというのがどんなにか辛いことか、私の文章力で少しでも伝えられるといいんですけれど。

諦めないと話は続き、黒鷹という謎の人物が助けに来てくれます。彼は、玄冬の育ての親でもあるのですが、飄々とした雰囲気とは裏腹に玄冬を心配するその気持ちが温かく、だからこそ大抵のルートでは辛くなります。

黒鷹と会ってからの選択肢で分岐する「羊水のひかり」、「約束」、「白花埋葬」は結論的に言えばバッドエンドですが、エンド1つ1つに一杯思い出があります。「羊水のひかり」は、私が最初に出会ったエンドで初めは意味不明でしたが、今思うと花白の育て親である白梟の、自らを作った主に対する忠誠心が痛いほど伝わるものです。「約束」は、花白ふざけるなよ!と思いつつも、花白が玄冬を好きだったのは決して自分の立場から逃げたいという我侭だけではないこととか、自らが選んだ道を本当は常に後悔していたことを考えると、責めきれないモヤモヤがのこります。「白花埋葬」はその中にも甘酸っぱさというのか、不思議なものを感じさせてもらいました。玄冬を信頼する黒鷹の想いや、無意識に約束を思い出す玄冬が、嬉しいんだけどこの世界では罪深いんですよね。こうやって書き出していると、各キャラとも印象が強くてビックリ。全クリしたら各キャラの考察とかやってみたいです……需要はなさそうですが。

「てのひらの先に」はベストエンド前の選択肢で分岐するエンドですが、黒鷹&玄冬のコンビが好きな私にはたまらなかった! 選択の前に黒鷹が玄冬の幼少時の話をしてくれるのですが、2人の間の絆と優しい黒鷹には床をゴロゴロした。そして、どんな選択をしても玄冬を尊重してくれる黒鷹が大好きです。といっても、話としてはこれはバッドエンドなのでもう片方の選択肢にしないと進まないわけですが……まだベストエンドは迎えていないにしても、基本的にエンディングが流れるエンドは、私に優しくない仕様らしいです。

鳥ルート(と攻略サイトで呼ばれてた)は、黒鷹や白梟など人間ではないもの達サイドに要点を置かれていますが、1つ声を大にして言わなければならないことがあります。エンディングが流れる「遠く、不断に」は確かにグッドエンドくらいですが、「約束Ⅱ」こそ犠牲を強いなければ遂行できない世界の残酷さをよく表したものであり、その中でも惹かれあうものの尊さと未来への期待と不安を表した良エンドであると! 「遠く、不断に」は開放された笑顔と温かみがありますが、でも結局は大切なものを失っている自覚がないだけじゃないかとなじりたくなります。幸せって「忘れる」ことと同義ではないんじゃないのか? じゃあ「約束Ⅱ」が幸せなものであるかというとそれはないんですけどね。言うなれば「遠く、不断に」は今の開放を求め、「約束Ⅱ」は未来への希望をつくったというところでしょうかね。

……中盤までの感想、しかもストーリーと迎えたエンドに関してしか書いていないはずなのに何故こんなに長くなってしまったのだろう。自分が思っていた以上に伝えたいことが多かったようです。ダラダラとすいませんでした。

2011年1月 3日 (月)

去年度おすすめ(漫画編)パート2

絶園のテンペスト(1~3巻)

家族を殺した犯人への復讐を目当てに、孤島に島流しにされた魔女と契約を結ぶ真広と、真広の妹と秘密裏に付き合っていた吉野の、ダブル主人公が世界の破滅を「偶然」救うことになる物語。複雑な物語が好きな人におすすめ。

まず、目的のためならば、手段を選ばない真広と、一見普通の高校生のように見えて、何処か非凡な吉野の奇妙な信頼関係が心地よいです。真広は、死んだ妹に対して妹以上の感情を内面で持ち合わせており、そんな真広を知りながらも、妹と付き合っていた吉野が食えないんですよねえ。自分で自分の恋心を自覚しつつも、認めたくないという甘酸っぱい感情もいいですが、何よりもそんな中で妹と付き合っていた吉野の意外といい性格に驚きです。巻が進むにすれ非凡性をみせる吉野に惚れ惚れ。真広は、妹と吉野の関係性を未だ知らないのですが、真実が明らかになった時、彼がどうするのかが楽しみ。

そして、殺人事件の犯人を魔法で突き止めることを条件に、味方することになった孤島の魔女と、その一族。一族に島流しにされた、最強の魔女が止めようとする世界の破滅ですが、これがまた一転二転としていくのが面白い。それぞれの側に正義があり、正義の多面性を深く味わうにはもってこいの作品です。

何回読んでも味があり、先が予測できない漫画として、これの横に並ぶものが思いつきません。多様される引用も癖になり、物語を引き締めるスパイスとしていい働きをしています。先を推理するようになったら、多分貴方も私の仲間です。

絶園のテンペスト 1 (ガンガンコミックス) Book 絶園のテンペスト 1 (ガンガンコミックス)

著者:城平 京,左 有秀,彩崎 廉
販売元:スクウェア・エニックス
Amazon.co.jpで詳細を確認する

去年度おすすめ(漫画編)パート1

waltz(1~3巻)

前作・魔王シリーズの殺し屋・蝉とその上司である岩西が主役の物語。斬新な作品に魅かれる人におすすめ。

初めは、嫌悪感をむき出しにする蝉がどんどんと岩西を信頼していくのとは裏腹に、あくまでも岩西は冷酷。この差を初めは酷いと思いながらも、少しずつ岩西のほうも歩み寄っていく様子が見えるのが、凄くニヤニヤです。そんな2人の関係性の変化と、殺し屋・「首折り男」を巡る事件。この2つが実によく絡み合っていて、物語を操っていくウマさは表現できないものがあります。綿密なストーリー、迫力のある絵、魅力的なコマわり。漫画家としてこれほど素晴らしいものはないのではないでしょうか。

ちなみに、魔王シリーズを知っていると、waltzシリーズとのギャップで更にニヤニヤできること間違いなし。waltz1巻で岩西が蝉に渡した携帯電話の重みは、魔王シリーズを読んでこそだと思います。というわけで、気に入ったら魔王シリーズ(全10巻)の方も、どうぞ御一緒に。

Waltz 1 (少年サンデーコミックス) Book Waltz 1 (少年サンデーコミックス)

著者:伊坂 幸太郎
販売元:小学館
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あけましておめでとうございます

もう3日になっていて、遅すぎると言われそうですが……何はともあれ、あけましておめでとうございます。今年もどうぞよろしくお願いします。

とはいっても、今年は受験生なので、かなり忙しい年になり、感想も今月あたりまでが限度になってしまうかもしれません。その分、今月は一生懸命にやっていきたいと思いますので、皆さんどうぞよろしくお願いします。

そして、新年早々皆さんにお年玉として(どの口がそれを言うのか)、前年度のおもしろかった本・漫画をまとめてみたいと思います。本当は、去年やっておきたかったのですが、年末忙しくて、パソコンに触れる時間がありませんでした。中には、感想を書いていない本も混じっていると思いますが、そのあたりは見なかったことにしてくれると嬉しいです。

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