ガーデン・ロスト
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ガーデン・ロスト (メディアワークス文庫) 著者:紅玉 いづき |
放送部――そこは、秘めた想いを抱える4人の少女達の隠れ家だった。漫画のキャラや俳優に恋をして、それでも誰かからの愛を求めてしまうかわいらしい少女・マル、人に対して過剰なまでに優しくしてしまい、その優しさで真実を見まいとする少女・エカ、ある事がきっかけで、女らしさを封印したカッコいい少女・オズ、母からの期待に応えようとして、自らを見失い、他者を跳ね除けてしまう少女・シバ。傷を舐め合うのでもなく、ただ許容していた状況が崩れたとき、彼女達の行き着く先にあるものは……
文通相手の想像の男性に、恋といえるかどうかも分からない感情を抱いたエカは、優しいんだけど、その優しさはひどく空虚で、その先が見えてしまうのが哀しい。相手を想っているのではなく、相手に嫌われないように優しさで全てを包み隠そうとする彼女は、シバに糾弾されただけで、儚く散ってしまいそうな幻想を必死で信じ続け、その先に何があるのだろうか。
そんなエカや、可愛さを身にまとう醜い自分をどこか冷静に眺めるマルが、それでも愛を求めずにはいられない姿は何処か滑稽で、酷く残酷だ。自分の愚かさは理解していても、止めることができない、何時までも王子様を願ってしまう彼女は狂っているんだろうし、きっとそんな彼女を本当に支えられるのは、エカくらいなものなんだろう。例えそれがシバの言うように、依存関係でしかなくても。「愛したい」とは、こんなに辛い言葉だったのだろうか。
オズはみんなの異常性を理解していて、そこに踏み込もうとしない、1番普通の子だった。ただ、後輩に慕われる自分の本来の姿に苦しんで、迷っていただけで、元々頭も悪くないんじゃないかな。心配はしつつも、自分が入り込める領域を理解しているのって、中々難しいことだと思う。彼女は、大分吹っ切れた感もあるから、また笑ってられそうだ。
1番痛くて、共感できたのがシバ。彼女が放送部を拒絶することで、話は転げ落ち、終結に向うわけなんだけど、その行為に隠された想いは、ズタズタに引き裂かれていて、でもそこにあるのは悪意なんかじゃない。彼女は、ただ怖くて、自らをも騙してしまっただけ。そんな自分をまた責めて、どんどん加速していくのに対し、最後、放送部のみんなが取ってくれた行動は、きっととっても嬉しかっただろう。
彼女達も、自分の中である程度線引きをする。それを超えないのは、相手の為でもあり、自分の為でもあり、はっきり言って偽善に満ちた関係だと思うけど、それがどうしたと言えてしまいそうだ。
偽善だって突き詰めれば、何かになる。どんな形であれ、前に進み始めた姿は、とても綺麗だった。
……うーん、でも私的にはこの作者の作品の中で、1番好きじゃなかった。この人は、幻想的な雰囲気の中で、行間にまで詰った想いを届けてくれる人だと思っていたし、実際今回も痛々しいくらいに伝わってきたものはあったんだけど、全体的にあのどこか厳かな雰囲気がなかった。ただそれ以上にラストまで、もどかしく、苦しい。
勿論、それもそれで楽しめたんだけど、私はもう1回ファンタジーな設定で読みたいなあ。
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