B.A.D. 1 繭墨は今日もチョコレートを食べる
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B.A.D. 1 繭墨は今日もチョコレートを食べる (ファミ通文庫) 著者:綾里けいし |
紅い唐傘片手にゴスロリを着ながら、常にチョコレートを食べている……これが小田桐勤が勤める「繭墨霊能探偵事務所」の代表・繭墨あざかだった。わけあって、腹に鬼の子を宿す小田桐と色々と不思議な能力を持つあざかの元に舞込んでくるのは、どんな依頼なのか……というのがおおよそstoryⅢまでの話で、その後はあざかの実家や実兄・あさととの話が中心になります。
思ったよりかは面白かった。この前読んだ「夜魔」がねっとりと人の狂気を描きだすものだとしたら、この作品は、あえてあっさりと書いてそれを肯定することで、異常さを浮かび上がらせている感じ。
ただ、個々に気になる部分はあって、Ⅱで母親と弟の自殺の原因となった父親を恨む雄介のその狂気性を、むしろ当たり前の事だと肯定したことで、あざかの立ち居地がわかったような気がしていたんだけど、最後の話で見せた小田桐に対する信頼とも執着ともとれる行動は、なんだかちぐはぐで、ちょっと理解できなかった。いや、あそこはああ書く事で、冷酷なあざかの根底に眠るものを書きたかったのかもしれないけど……ううん。
逆に小田桐の行動は、その苦悩が切に伝わってきて、つらかった。鬼の子を宿すが故にあざかの側に居なければならないのだけれど、昔のような普通を掲げられた時に、思わず迷って目が曇ってしまったりする彼が、かつて友達だったあさとに対してどんな想いを抱いているのかとか、予想できなくは無いけど、気になって仕方ない。彼は、あさとに対して憎しみがある一方、できる事なら元のような関係に戻りたいんじゃないかな……。昔はあさとと静香と自分の3人で笑いあっていたはずなのに、その永遠を願ってしまった事で、結果的に悲劇となってしまったのを彼が悔やみ続けるのかと思うと、心がズキリとしたなあ。
あの3人の関係は、今から考えると出来上がった時点で矛盾に満ちていたんだけど、誰かを一方的に責めることなんて出来ない。端的に見たら1番悪そうなあさとの方も何だか憎みきれないんだよなあ。勿論、いい奴なんかじゃないんだけど、彼だってただ普通に小田桐に出会っていたら、違っていたんじゃないかと思わざるを得ない。まあ、「普通」だったら小田桐とは出会えなかったのだろうけど。
全体的に上手く纏まっていて、色々書けそうなところで終わっていた。あさとと小田桐の関係が私的には好きだから、続編ではもっとそこを引っ掻き回して欲しい。
彼等には気の毒だけど、彼等がハッピーエンドになるのはまだまだ遠いはずだもの。
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著者:綾里けいし
イラスト:kona
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